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2026年6月26日

価値ある情報は検索では出てこない──AI時代に提案力で差がつく理由

価値ある情報は検索では出てこない──AI時代に提案力で差がつく理由

AI検索やGoogle検索を使えば、知りたいことはほとんど数秒で手に入る時代になりました。


提案活動を真剣にすればするほど、本当に決め手になる情報ほど検索しても出てこないと感じているのではないでしょうか。


本コラムでは、なぜ価値ある情報はネット上にないのか、そしてAI時代に提案力でどう差がつくのかを、IBMでの25年の経験を交えてお伝えします。


結論を先にお伝えします。


本当に価値ある情報は、人と会い、信頼関係を築くなかでしか得られません。


その差は、AIの時代だからこそ、静かに、しかも確実に大きく開いていきます。


■ なぜ、本当に価値ある情報は検索で見つからないのか


大手企業のホームページには、経営方針も、中期経営計画も、決算の数字も、いくらでも載っています。情報はむしろあふれています。


それでも、いちばん知りたいことだけは、どこにも書かれていません。


検索にもAIにも載っていない「3つの情報」があります。


・お客様が、本当は何に困っているのか

・キーマンが、何を考え、何を気にしているのか

・社内で、どんな人の承認を得なければ話が進まないのか


これらは、提案の成否を分ける決定的な情報です。


それでもAIは教えてくれません。


理由はシンプルで、こうした情報は、人の頭の中と、人間関係の中にしか存在しないからです。


■ 屋上の自家発電設備が、提案の方向性を変えた


私はIBMで25年間、大手企業への法人営業に携わってきました。


そこで痛感したのは、決め手になる情報は、いつも検索の外にあったということです。


あるとき、打ち合わせが終わった後に「うちの自慢なんです」と、立派な自家発電設備を見せてくださったお客様がいました。


屋上にあるその設備を見ながら、お客様が何気なく話したひと言。


それは、ホームページにも資料にも、どこにも載っていない本音でした。


私はその場で、提案の方向性を変えました。


そして次の打ち合わせに、その本心を組み込んだ提案を持っていったのです。


すると、流れが急に変わりました。


お客様の前のめりさが、まるで違う。やる気のスイッチが入った瞬間でした。


あのひと言は、商談での信頼関係があったからこそ、雑談のなかで話していただけたものです。


検索では、絶対に出てきませんでした。


■ アカウントプランとは──人から得た本音を提案戦略に変える手法


IBMでは、お客様一社ごとに提案の戦略を練り込むアカウントプランという手法を使っていました。


お客様が目指すゴール、その裏にある経営課題、社内で誰がどう承認するか。


そこまで見据えて提案を組み立てていくものです。


アカウントプランの精度は、ひとつの要素だけでは決まりません。


公開されている経営計画や決算を読み込み、仮説を立てる。


型に沿って、社内で誰がどう承認するかまで整理する。


そのうえで、人からしか得られない生の情報を重ね、仮説を確かめていく。


このどれが欠けても、提案は深まりません。公開情報も、型も、人から聞いた本音も、すべてが揃って初めて、大きな提案は動き出すのです。


そして、アカウントプランは一度作って終わりではありません。


提案活動のなかで仮説と検証を繰り返し、常にブラッシュアップし続ける。そうやって磨かれ続けるものなのです。


■ AI時代に、情報格差はなぜ大きく開いていくのか


AIが進むほど、誰もが同じ情報に一瞬でたどり着けるようになります。


調べればわかることの価値は、これからどんどん下がっていきます。


さらに重要なことがあります。


AIの答えは、鵜呑みにしていては良い提案はできません。それは本当に正しいのか。


確かめ、考え抜くのは、人間の仕事です。


頭に汗をかくくらい深く考え、試行錯誤したその先にしか、答えはありません。


何も考えず検索で拾った情報で提案する人と、自分の頭で考え行動して提案する人。


その差は、AIの時代だからこそ、静かに、しかも確実に大きく開いていきます。


■ よくあるご質問(FAQ)

Q. AIを使えば、提案の準備は十分にできますか?

A. AIは情報を集めて整理する作業を大きく助けてくれます。ただ、AIの答えが常に正しいとは限りません。同じことを尋ねても、質問する人や聞き方によって、返ってくる答えは変わります。だからこそ、出てきた答えを鵜呑みにせず、その確からしさを自分で確かめ、考え抜くことが欠かせません。


Q. お客様の本音は、どうすれば引き出せますか?

A. 雑談を重ねれば引き出せる、というものではありません。何より大切なのは、お客様にとって本当に価値のある提案をし、その提案内容で信頼を勝ち取ることです。そのうえで、人としての関係も良くしていく。価値ある提案と良い関係が積み重なったとき、お客様は本音を打ち明けてくださいます。


Q. アカウントプランは、どんな企業に向いていますか?

A. 大手企業・大型案件の提案をしたい企業に特に有効です。決裁に複数の関係者が関わり、検討が長期にわたる提案ほど、戦略を練り込む効果が大きくなります。


■ AI時代の提案力の核心

調べることはAIに任せていい。

そのぶん空いた時間で、お客様のもとへ、もう一歩深く会いに行く。人にしかできない「信頼を築き、本音を引き出す」ことに時間を使う。それが、AI時代の提案力の核心です。

あなたの提案の決め手は、AIの中にありますか。それとも、お客様との関係の中にありますか。


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【著者プロフィール】加藤夏美(かとう なつみ)/N.Kナーツ株式会社 代表IBMで25年間、大手企業への法人営業に従事。独立してN.Kナーツ株式会社を設立。大手企業・大型案件の提案をしたい企業に向けて、アカウントプラン・セールスイネーブルメント・コーチングを通じた提案力の仕組み化を支援している。ホームページ:https://www.nknarts.com/

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