2026年9月28日
目標未達の法人営業の組織が行うべきことは? 〜深く沈むから、高く飛べる〜

目標未達のとき、組織で何が起きるか
目標に届かないとき、多くの営業組織では「もっと動け」と号令がかかります。
現場は、なんとかしようとして、その場しのぎで動き回ります。思い当たる商談に片っ端から連絡する。急に訪問を増やす。とにかく行動量で挽回しようとする。
だけど、結果は出ません。
なぜなら、準備のない行動は、お客様にとって価値がないからです。事前に調べもせず、どこかで見たような資料を持って駆け込んでくる営業に、お客様が大切な案件を任せることはありません。
焦って動いた分だけ、現場には疲れだけが残ります。そして、疲れた組織はさらに準備の時間を削り、ますます結果から遠ざかる。これが、目標未達の組織で起きる悪循環です。
あたふたと動き回って取れるのは、小さな案件までです。大きな案件は、深く考え抜いた提案からしか生まれません。
深く沈むから、高く飛べる
そういう時こそ、おすすめしたいことがあります。
腰を落ち着けて、時間をかけて、しっかり準備することです。
高く飛ぶ前には、深くしゃがみますよね。ジャンプと同じです。助走なしにその場で跳んでも、大した高さにはなりません。
いちど沈むから、いままで以上に高く飛べ、大きな成果が出せるのです。
「目標に届いていないのに、立ち止まる余裕なんてない」と思われるかもしれません。でも、考えてみてください。準備なしの訪問を10件重ねるのと、考え抜いた提案を1件持っていくのと、どちらがお客様に選ばれるでしょうか。
沈む時間は、止まっている時間ではありません。高く飛ぶための、助走です。
アカウントプランとは──「沈む時間」を仕組みにする
この「沈む時間」を、個人の心がけではなく仕組みとして行うのが、アカウントプランです。
アカウントプランとは、お客様一社ごとに提案の戦略を考え抜き、まとめ上げる計画のことです。四半期に1度、しっかり時間をかけて、次の問いに向き合います。
お客様は何を目指しているのか。その裏にある経営課題は何か。自社だからこそ貢献できることは何か。どの順番で、誰に提案していくのか。
私が25年間在籍したIBMでは、このアカウントプランを四半期に1度、必ず実施していました。目先の数字を追いたくなる時期でも、例外はありません。営業活動で忙しい中、この時間は一見、遠回りに見えます。
でも、この「沈む時間」があるから、大きな案件を生み出し、契約できるのです。
個人の頑張りで終わらせない──セールスイネーブルメントという考え方
もうひとつ、大切なことがあります。
アカウントプランを、一人の営業の努力で続けるのは簡単ではないということです。忙しくなれば、真っ先に削られてしまうからです。
そこで必要になるのが、セールスイネーブルメントです。成果の出るやり方を個人任せにせず、組織の仕組みとして整え、法人営業のチーム全体で回せるようにする取り組みです。
四半期に1度のアカウントプランを「重要な業務」として業務プロセスに組み込む。戦略を立て、行動し、振り返る。このリズムが組織に根づいたとき、御用聞きの営業から、お客様の課題を起点に価値を提案するソリューション営業への転換が実現します。
この転換は、個人のセンスではなく、仕組みで実現するものです。
焦っているいまこそ、沈む勇気を
いま、目標まであと少しで焦っている組織の方へ。
現場を動き回らせる前に、いちど組織として深く沈んでみませんか。
まずは一社、大切なお客様を選んで、チームで提案戦略を考える時間を確保する。そこから始めるだけでも、次の四半期の跳び方は変わります。
あなたの組織はいま、あたふた動いていますか。それとも、深く沈んでいますか。
よくある質問
Q1. アカウントプランは、どのくらいの頻度でやるべきですか?
A. おすすめは四半期に1度です。毎月では準備が浅くなり、年1回では市場やお客様の変化に追いつけません。四半期ごとに「戦略を立てる→行動する→振り返る」のリズムを回すことで、成果を出し続ける営業組織になります。
Q2. 目標未達で忙しいときに、準備に時間をかける余裕がありません。
A. 忙しいときほど、その場しのぎの行動が増え、さらに忙しくなるという悪循環に陥りがちです。まず一社、大切なお客様を選んで、チームで提案戦略を考える時間を数時間だけ確保してみてください。そこで生まれた大きな案件が、悪循環を断ち切るきっかけになります。
Q3. アカウントプランを組織に定着させるには、何が必要ですか?
A. 一時的な号令ではなく、セールスイネーブルメントとして「重要な業務」に 組み込むことです。自社だけで定着が難しい場合は、外部の伴走支援を活用し、型の導入から運営まで一緒に回していく方法もあります。

