2026年5月11日
AIが生む二極化とは何か。生き残るエンジニアと営業の共通点

AIが生む二極化とは何か。生き残るエンジニアと営業の共通点
「コードを書くエンジニアと、機能を説明するだけの営業は、仕事を失う。」
外資系セキュリティ企業の役員の方とお話しする機会がありました。
きっかけは私の相談でした。バイブコーディングで商用アプリを開発しようとしており、「非エンジニアはどんな人にメンターをお願いしたらいいか」を聞きに行ったのです。
話しているうちに出てきたのが、冒頭の言葉でした。続けて役員の方はこう言いました。
「エンジニアも、生き残るのは付加価値の提案ができる人です。」
AIが普及するにつれて、この二極化は加速しています。
ではその「二極化」とは何か。そして組織はどう対応すればいいのか。
IBM法人営業25年の経験からお伝えします。
AIが生む二極化の正体
AIに仕事が奪われるという言葉はよく聞きます。
しかし、その影響はすべての仕事に均一に及ぶわけではありません。
AIが得意なのは、定型化された作業の実行です。
コードの生成、ドキュメントの作成、機能の説明、情報の整理。
こうした作業はすでにAIが高い精度でこなせるようになっています。
一方、AIが代替しにくいのは「このお客様にとって今本当に必要なことは何か」を考え、まだ言語化されていないニーズを汲み取り、価値ある選択肢を提案する力です。
この差が、「作業ができる人」と「価値を提案できる人」という二極化を生み出しています。
IBMで見続けた「重宝されるエンジニア」の条件
私はIBMで25年間、法人営業として1,500件以上の案件に携わってきました。
IBMでは、「仕様通りに開発する」付加価値の低い作業を、自社の社員エンジニアが担うことはありませんでした。
そうした作業はパートナー企業が担い、IBMの社員エンジニアには別の役割が求められていたのです。
その役割とは、お客様の課題を深く理解し、IBMの強みを組み合わせて「こういう未来が描けます」と提案することでした。
こうしたエンジニアは、営業から強く重宝されていました。
技術の専門性とお客様への価値提案の力を両立できるエンジニアは、商談の質を一気に引き上げる存在だったからです。
これはAI時代においても変わらない原則です。
AIがルーティンを代替するようになればなるほど、この力の価値はさらに高まっていきます。
ルーティンはAIに奪われる。では何が残るのか
AIに奪われる仕事と奪われない仕事を分けるものは何でしょうか。
私が考えるのは「定型か否か」という軸ではなく、「価値の起点が誰にあるか」という軸です。
コードを書くこと、機能を説明すること。
これらはすでに存在するお題を受け取って実行する仕事です。
価値の起点はお題を出した側にあります。
一方、「このお客様の状況には、どんな解決策が最も価値があるか」を考えること。
これは、まだ言語化されていないニーズを汲み取り、価値の方向性を提案する仕事です。
価値の起点が自分にあります。
この違いこそが、AI時代に残る力の本質です。
この二極化はエンジニアと営業だけの話ではない
AIが生む二極化は、エンジニアと営業だけの話ではありません。
マーケター、コンサルタント、プロジェクトマネージャー。
どの職種においても、「作業を実行する人」と「価値の方向性を提案する人」の間に、これまでにない差が広がりつつあります。
重要なのは、これが才能の差ではないということです。
お客様の課題を深く聞く習慣があるかどうか。
お客様の言葉の背景にある文脈を考えているかどうか。
自社の強みをお客様の課題と結びつける練習をしているかどうか。
こうした習慣と訓練の積み重ねが、付加価値を提案できる人材を育てていきます。
付加価値を提案できる組織をどうつくるか
あなたのチームには、担当領域はこなせても、お客様の課題には踏み込まない、という方はいますか?
組織として取り組むべきは、「付加価値の提案を個人任せにしない仕組み」をつくることです。
お客様の課題を言語化する場をつくること。チームでその課題に対する仮説を立てること。提案の質を組織として振り返る習慣を持つこと。
こうした仕組みが、一人ひとりの付加価値提案の力を組織全体に広げていきます。
付加価値の提案ができる組織をどうつくるか、一緒に考えてみませんか。
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