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2025年6月9日

「営業力」と「提案力」は何が違うのか?──これからの時代に求められるビジネスパーソンの条件

「営業力」と「提案力」は何が違うのか?──これからの時代に求められるビジネスパーソンの条件

第1節:「営業力」に対する誤解


「営業が得意そうだね」と言われると、苦笑いをしてしまうことがあります。

というのも、営業という仕事に対して、多くの人が以下のようなイメージを持っているからです。


  • トークが上手

  • 人たらし

  • 雑談や接待で信頼を得る

  • 人間関係でビジネスを取ってくる


たしかに、こうした「営業力」が必要とされる場面もあります。


しかし、それはあくまで一側面に過ぎません。


特にB2Bのエンタープライズ営業では、「話し上手」よりも「聞き上手」な人の方が成果を出しやすいのが現実です。


営業における本質的な価値とは、「何を話すか」よりも「何を捉えるか」にあります。


第2節:「提案力」とは何か?


私が考える「提案力」とは、単なる資料作成やプレゼン技術ではありません。


  • お客様の言葉の背後にある“本質的な課題”を掘り起こす力

  • その課題を構造的に整理・仮説立てする力

  • 課題に対して現実的かつ魅力的な解決策を提示する力


これらを総合的に備えた力こそが「提案力」であり、営業だけでなくエンジニアやマーケター、カスタマーサクセスなど、あらゆる職種に必要とされるスキルです。


たとえば、ある製造業のお客様に対して、ITソリューションを提案した際。単に「業務効率が上がりますよ」と話すのではなく、「御社が2030年までに目指すグローバル展開において、この業務のボトルネックが成長を制限している可能性がある」という切り口で提案したところ、大きな反響がありました。


「そういう視点で考えたことがなかった」と言われた瞬間、「営業をやっていてよかった」と感じたのです。


第3節:「営業=提案」というスタイルで25年


私はIBMという外資系IT企業で25年間、法人営業を担当してきました。


多くの方が「営業って会食や接待が多いんでしょう?」と聞いてきますが、実際は真逆でした。


お客様と会食するのは年に1・2回程度のKICKOFFやお疲れ様会のような節目のタイミングくらいで、基本は日中の商談のみでした。


重要なのは「どんな話をしたか」ではなく、「どんな価値を提供できたか」です。


そのために必要だったのが「仮説思考」と「構造化力」です。


たとえば、限られた情報の中から「この会社は今、◯◯という課題に直面しているのではないか」と仮説を立て、検証し、的確な提案に落とし込む。このプロセスを日々繰り返すことで、結果として「営業力のある人」と評価されるようになったのです。


でも私は、IBM営業が優れているのは「営業力」ではなく「提案力」だと考えています。


第4節:なぜ今「提案力」が求められているのか?


少子化、競争激化、価格の下落が進んでいます。


多くの日本企業が成長の天井に突き当たる中で、提案力の重要性はますます高まっています。


理由はシンプルです。


B2Bの購買においては、もはや「関係性」や「価格」だけでは決まらないからです。


経営層はいつも「投資対効果=ROI」を見ています。


いかに親しくても、合理性がなければ決裁は通りません。


だからこそ、「なぜ今この投資が必要なのか」「導入しないことでどんな機会損失があるのか」


これらを明確に伝える“構造的提案力”が不可欠なのです。


第5節:「提案できる人」こそが評価される時代へ


提案力は、もはや営業だけの専売特許ではありません。


  • エンジニアが自ら設計の工夫を伝える

  • マーケターがデータから示唆を出す

  • カスタマーサクセスが解約リスクを事前に見抜いて提案する


このように、あらゆる職種が「提案型」へと進化しています。


むしろ専門職の方々の方が、営業以上に深い提案ができるケースも多いのです。


社内で「お客様に提案ができる人」として信頼されるようになれば、意思決定の場にも呼ばれ、キャリアの選択肢も広がります。


まとめ:営業が苦手でも、「提案力」は誰でも磨ける


もしあなたが、「営業は苦手」「押しが弱い」と感じているなら、大丈夫です。


あなたに必要なのは「売り込む力」ではなく、「提案する力」だからです。


仮説を立て、構造的に整理し、相手にとっての“意味ある選択肢”を提示できるようになれば、自然と信頼され、成果もついてきます。


これからの時代に求められるのは、「売る人」ではなく、「提案できる人」です。


ぜひ、あなた自身の「提案力」を磨くことにチャレンジしてみてください。


営業という仕事の見方が、きっと変わるはずです。

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