2025年5月5日
営業は“逃げずに攻略”するゲームである

「なんで営業って、こんなに嫌なことが多いんだろう?」
営業職としてキャリアを積んでいれば、一度はそんな疑問が頭をよぎるはずです。
売上目標に追われる日々。
失注すれば落ち込み、トラブル対応で謝罪、日々の社内調整、時には他人のミスまで自分が責任を負う。
本当に、逃げ出したくなるようなことがたくさんあるのが営業という仕事です。
でも、逃げ続けた先に、希望はあるでしょうか?
答えはNoです。
逃げたく なる気持ちは誰しもあります。
でも、その気持ちとどう向き合うかこそが、営業として長く、そして強く在り続けるための鍵だと、私は思います。
25年間、IBMで営業を続けてきた中で、私自身も何度も「嫌なこと」に向き合ってきました。
今回はその経験を通じて学んだ、「嫌なことから逃げない」ことで見えてきた景色についてお伝えします。
第1節:営業という仕事に「嫌なこと」が多いのはなぜか?
営業は、ビジネスの最前線で成果を求められる仕事です。
評価は明確に数字で下され、達成できなければ「できない人」という烙印を押されることも少なくありません。
また、営業はお客様と会社、そして社内の他部門との間に立つ立場です。
お客様からの要望、社内の事情、納期・品質・価格といった条件の折衝…。
その中でトラブルが発生すれば、まず最初に謝るのは営業です。
あるとき、損害賠償になるような大きなトラブルがありました。
自分のミスではないですが、営業として謝罪し、信頼を回復するために数週間の再提案・社内再調整に奔走しました。
このように、「理不尽な責任」が営業には多く発生します。
しかし、それが営業という職種の宿命でもあるのです。
第2節:逃げ続けた先にあるのは、評価の低下と孤立
では、そんな嫌なことから逃げてしまった場合、何が起こるのでしょうか?
・トラブル対応を後回しにした結果、被害が拡大してしまう
・お客様との信頼関係が崩れ、次の商談に繋がらなくなる
・社内の信用を失い、調整がうまくいかなくなる
・ミスの責任を転嫁しようとして、チームとの関係が悪化する
つまり、逃げれば逃げるほど、自分の立場が悪くなり、ますます仕事がしづらくなるという悪循環に陥ってしまいます。
これは、個人にとっても組織にとっても非常に大きな損失です。
たとえ最初は小さな問題であっても、対応を後回しにしたことで後々大きなトラブルに発展した事例も、私は実際に見てきました。
第3節:ピンチこそ信頼を得る最大のチャンス
逆に、逃げずに「正面から向き合う」ことで、ピンチをチャンスに変えることができるのも、営業の魅力です。
ある時、私が担当していた大手顧客とのシステム導入プロジェクトで重大な仕様ミスが発覚しました。
数千万単位の損失に繋がる可能性がある中、私はすぐに現場責任者と直接会い、謝罪と今後の対応策を具体的に提示しました。
結果的にプロジェクトは遅れたものの、「誠実な対応だった」と評価され、その後も同社との関係は継続しお客様から高く評価されました。
逃げずに対応したことが、逆に信頼と商機を生んだ瞬間でした。
このように、営業において「逃げずに向き合うこと」は、単なる責任感ではなく、“武器”になります。
第4節:営業は“攻略”していくゲームだと捉える
営業という仕事を、私は「攻略していくゲーム」だと思っています。
ステージごとに現れる課題(クレーム、調整、ミス)を、知恵と行動で乗り越えていく。
うまくいかなかった時はリトライして、少しずつ“攻略パターン”を覚えていく。
このマインドを持つことで、嫌なことも“ステージクリアの条件”として楽しむことができるのです。
たとえば、「クレーム対応」は、「お客様の本音を聞ける貴重な機会」。
「社内調整」は、「組織内ネットワークを構築する場」。
「数字未達の反省」は、「戦略を見直すサイン」。
そう捉えるようになってから、私は営業が一層楽しくなりました。
まとめ:逃げずに“楽しむ”力こそ、営業の武器になる
営業は、嫌なことが多い仕事です。これは事実です。でも、その事実を受け入れた上で、“どう向き合うか”が本当の勝負です。
逃げずに取り組めば、必ず見えてくるものがあります。
そこには、成長があります。信頼があります。
そして、継続的な成果があります。
「営業は嫌なことが多い。でも、全部ゲームだと思って攻略する」そんな気持ちで、今日も一歩前に進んでいきましょう。
あなたの営業人生に、ピンチがチャンスに変わる瞬間が必ず訪れます。