top of page
2026年3月26日
仕組み化したら、なぜ現場が考えなくなるのか──IBMで25年見えた「考える仕組み」

「営業の仕組み化」と聞いて、どんな光景を思い浮かべますか。
多くの組織では、決まったセリフを暗記させ、トークスクリプトどおりに話せるようにすること──つまり「金太郎飴のように誰でも同じことが言える状態」を、仕組み化だと捉えているように見えます。
マニュアル化しやすく、評価もしやすい。経営層から見れば、合理的に見えるやり方です。
ところが、私が現場で何度も見てきたのは、その延長線上にいる人たちが「考えなくなる」という現実でした。
仕組み化のつもりが、思考停止の営業パーソンを量産している。これは誇張ではなく、構造の話です。
セリフに依存すると、想定外の質問が来た瞬間に言葉が止まります。お客様の課題が資料のケースと微妙に違うだけで、次の一手が打てなくなります。
つまり、そこにあるのは「再現性」ではなく「脆さ」なのです。
ここから先が、本稿で言いたい転換点です。**本当の仕組み化とは、考える仕組みと、動かす仕組みを同時に設計すること**だと、私は考えています。
なぜ「暗記型」の仕組みは、現場の脳を止めるのか
暗記と反復は、一定の場面では有効です。しかしそれだけが「仕組み」の中心にあると、現場は「正解を探す作業」に縮こまります。正解がマニュアルにない場面では、判断ができない。上司に聞くまで動けない。結果として、機会損失とストレスが積み上がります。
お客様の課題は、型どおりには進みません。だからこそ、**型の外側で考える筋肉**を組織が持てているかどうかが、成果を分けます。
IBMで25年、肌で感じた「トップ2割がいない」営業組織
私がIBMの法人営業で過ごした25年のなかで、強く印象に残っている事実があります。**突出した「トップ営業」だけが売上を引っ張る構造ではない**という点です。
なぜそうなるのか。それは、複数の仕組みが重なり合い、チーム全体で成果を積み上げる設計が徹底されているからです。たとえば次のようなものです。
- 商談の前に、チームで仮説を立て、ストーリーを練る時間が仕組みになっている
- お客様の課題を深掘りするための「問い」の型が共有されている
- 上司が答えを与えるのではなく、部下の思考を引き出すコーチングが回っている
こうした仕組みは、単体では完結しません。仕組みが絡み合って初めて、個人のばらつきを「組織の強さ」に変える**のです。
もともとボトム2割から出発した私自身も、この「考えて動く」仕組みに置かれたことで、少しずつ提案の組み立て方を身につけていったと実感しています。
属人化の組織と、「考える仕組み」が根付いた組織
属人化した組織は、スター営業が抜けた瞬間に数字が落ちます。一方で、考える仕組みが根付いた組織は、メンバーが入れ替わっても、成果の出し方を組織が保持し続けます。どちらを目指すかは、仕組み化の定義をどこに置くか、と表裏一体です。
結び──あなたの「仕組み化」は、どちらを育てていますか
冒頭で書いた「金太郎飴」のイメージは、悪いものではありません。ただ、**そこで終わらせてしまうと、仕組み化という言葉が思考停止を生む装置になってしまう**。その危うさを、一度は言語化しておきたいところです。
あなたの組織の仕組み化は、人間ロボットを量産する方向に寄っていませんか。それとも、考えて動く人材を育てる設計になっていますか。今一度、問い直してみてください。
営業組織の提案力を高めたい経営者・営業リーダーの方へ。IBM時代のやり方をベースに、現場で使える考え方もセミナーでお伝えしています。→ https://semican.net/event/nknarts/rdqsgt.html
「うちの営業組織は何から手をつければいいのか」──そんなお悩みは、まず無料相談でお話しください。→ https://www.nknarts.com/contactbottom of page
