2025年4月28日
継続するだけで強い営業組織は創れる

「成果を出し続ける営業チームは、何が違うのか?」
これは、多くの営業マネージャーや経営層が直面する疑問です。
営業力を強化するノウハウやツールは数多くありますが、最もシンプルで、かつ実行が難しい戦略が“継続”です。
行動を起こす営業パーソンは30%、それを継続できる人はわずか0.5%です。
この数字こそが、営業成果の「差別化」を生み出す真因ではないでしょうか。
華々しく見える外資系ITでも地道に「継続」することで営業組織を強くしている事例を含め継続の重要性をお伝えします。
第1節:継続できる組織は0.5%――「続ける力」が最強の差別化になる理由
どんなに素晴らしい営業手法やマーケティング戦略も、実行されなければ意味がありません。
さらに1度、実行しただけでなく、「継続」がなければ再現性のある成果には結びつきません。
営業の世界では、学んだことや指示されたことを自ら進んで「行動に移す営業パーソンは全体の30%、継続できるのはわずか0.5%」と言われています。
つまり、継続できるだけで、自ずと上位層に入るのです。
なぜ継続はこれほどまでに難しいのでしょうか?
それは、「成果が出る前にやめてしまう」からです。
営業活動の多くは中長期的な投資であり、短期的なリターンが見えづらい。
やっていることが正しいのか不安になり、結果が出る前に行動をやめてしまうのです。
しかし裏を返せば、「正しい方法を信じて続ける」だけで、競合との差別化ができるということです。
つまり、継続とはコストをかけずにできる“戦略的差別化”なのです。
第2節:IBMが50年以上続けているAPSの本質とは?
IBMが日本で50年以上続けている「APS(Account Planning Session)」をご存じでしょうか?
これは、四半期に一度、営業が担当アカウントの戦略を策定・共有する場です。
私が在籍した25年間も、年4回、1度も欠かすことなく全営業が参加していました。
APSは単なる計画会議ではありません。
そこには行動心理学に基づいた仕組みが組み込まれており「行動を継続せざるを得ない」構造になっていたのです。
たとえば:
アカウントプランを必ず同僚や上司、提案活動をサポートしてくださる人にに対して行う
中長期と短期のビジネスプランを必ず策定する
営業活動の結果を次回のAPSで振り返りPDCAを回す
これにより、営業は「やると宣言したことをやる」文化に自然と身を置くことになります。
これこそが、IBMの営業組織が継続的に強くあり続けられる理由なのです。
第3節:行動心理学が支える「やめない仕組み」
APSが成功している背景には、行動心理学の知見が活かされています。
コミットメントと一貫性の原理 一度“やる”と宣言したことは、人間は自然とやり続けようとする傾向があります。APSではこれを活かし、宣言と報告の場を設けています。
社会的証明 他の営業が同じことをやっているという状況が、モチベーションを引き上げます。APSは“みんなでやる”から継続しやすい。
即時フィードバック 行動後すぐにフィードバックが得られることで、成功体験と学習の好循環が生まれます。これにより、行動が強化されるのです。
このように、心理学的に「継続せざるを得ない」仕組みが整っているからこそ、営業パーソンはモチベーションに左右されずに行動を続けられるのです。
第4節:継続がもたらす営業成果と組織変革
APS導入後に成果を上げた企業は少なくありません。
たとえば、ある中堅IT企業ではAPSを導入して2年目に、以下のような変化が見られました。
若手が8ヶ月で年間の売上目標を達成
マネージメントのフォロー体制の強化
これらの成果は、営業プロセスの“標準化”と“見える化”が進んだことによるものです。
属人化していた営業スキルがチームに共有され、再現性のある成果が生まれるようになりました。
さらに注目すべきは、営業メンバーの“自己効力感”が高まったことです。
やりきった経験が蓄積されることで、自信と行動力が強化され、より高度な商談にも挑戦するようになります。
まとめ:継続するだけで勝てる時代に、あなたは動けていますか?
多くの企業が「何をやるか?」を探し続けています。
しかし、本当に重要なのは「それをやり続けられるか?」です。
継続は、最もシンプルで、最もパワフルな差別化戦略です。
APSのような仕組みを通じて“続ける営業”を文化として組み込むことができれば、どんな時代でも成果を出せる営業組織を作ることができます。
続けることが、勝つための第一歩です。
ぜひ、あなたの会社の営業チームにも“続けられる仕組み”を取り入れてみましょう。