2025年5月12日
「考え抜く営業」は、なぜ成果を生み続けるのか?

営業という仕事はお客様対応だけでなく、社内調整、資料作成、数字管理、そして突発的なトラブル対応まで、日々の業務は多岐にわたります。
そして、常に時間に追われています。
見積もり提出の締切、提案書の完成、期末の売上達成など「期限」に追われるのが営業です。
そうした中、ふと立ち止まって思うことはないでしょうか?
「今日は、ただこなしていただけだったかもしれない」
「目の前の作業に追われて、考える余裕がなかった」
「この提案、本当にお客様にとってベストだったのか?」
このような思いがあるなら、いまこそ「考え抜く習慣」を身につけるチャンスです。
第1節:「こなす営業」から「考え抜く営業」へ
営業は、行動量だけでは成果につながりません。
もちろん、行動は必要条件です。
しかし、行動の“質”を上げなければ、商談化率も、受注率も頭打ちになります。
特にBtoB・エンタープライズ営業では、お客様の意思決定は複雑化しております。
お客様の内部での合意形成、ステークホルダーの関心、予算の裏付け、タイミング…。
こうした要素を読み解き、提案のタイミング・切り口・順序を“設計する”ことが、今の営業に求められているのです。
そのためには、「ただ考える」のでは足りません。必要なのは、「考え抜く」ことです。
第2節:営業には“考える時間”が足りていない
私自身、これまで多くの営業パーソンと会ってきましたが、驚くほど多くの方が「考える時間を取れていない」と口を揃えます。
ある日系IT企業の営業マネージャーは、こんな言葉を漏らしていました。
「毎日ToDoが山積みで、考えようと思っても、電話やSlackの通知、社内調整で終わってしまう。気づけば、目の前の数字を追いかけるだけの営業になっていた」
これは決して珍しい話ではありません。
実際、営業の日報や商談記録を見ると、「誰と会って、何を話したか」は書かれていても、「その背景にどんな仮説があったのか」「次にどう展開するつもりか」まで深く記されているケースは非常に少ないのが現実です。
忙しいからこそ、思考の質が問われる。
まさに、ここが営業としての“分かれ道”だと感じます。
第3節:「考え抜く習慣」は、こうして身につく
では、どうすれば「考え抜く習慣」を日常に組み込めるのでしょうか?
それを可能にする仕組みの一つが、私たちが提供しているアカウントプランニングセッション(APS)です。
このセッションでは、以下のような問いを徹底的に掘り下げます。
このお客様は、なぜ私たちと話をしてくれているのか?
競合と比べて、私たちは何を提供できるのか?
この担当者の背後には、どんな意思決定者がいるのか?
今のタイミングでなければ、なぜいけないのか?
これらは、営業パーソンが主観で片付けがちな問いでもあります。
しかし、セッションの中でチームや上司と議論することで、仮説が言語化され、提案内容が研ぎ澄まされていくのです。
「自分たちが売りたいという視点ではなく、お客様が買いたい理由に焦点を当てるようになったことが大きい」という声が現場から出てきたことも印象的でした。
第4節:「考え抜く」ことは、時間の浪費ではない
中には、「考える時間があったら、商談に出たほうがいいのでは?」という声もあるかもしれません。
たしかに、初期接点が必要な営業フェーズでは、行動量が成果を左右する場面もあります。
しかし、「仮説が甘い」「相手の優先順位を間違えた」「社内の協力を得られなかった」といった理由で、せっかくの商談が受注につながらなかった経験はないでしょうか?
そのような“無駄な打ち手”を減らすためにも、前提を深く掘る「考え抜く時間」こそが、営業の生産性を上げるのです。
「10時間かけて作った提案が通らず、案件を失注」という事態を1回防ぐだけでも、実は大きな投資対効果になります。
まとめ:成果を出す人は、「考え抜く時間」を習慣にしている
営業という仕事は、行動と考察のバランスで成果が決まります。
「がんばっているのに成果が出ない」と感じている人ほど、「考え抜く時間」が圧倒的に不足しているケースが多いのです。
アカウントプランニングセッションは、その思考の時間を意図的に確保し、構造化された問いを通じて仮説を深めるための仕組みです。
忙しい日常の中であっても、一度立ち止まり、思考を深めることができれば、営業は必ず変わります。
そしてその積み重ねこそが、成果を継続的に生み出す「営業の型」を作り出すのです。
「考え抜く営業」へ、一歩踏み出してみませんか?