2025年4月30日
与えられた環境でベストを尽くす

「なぜ、あの人ばかり良いお客様を担当させてもらえるんだろう?」
営業として働いていると、こんな疑問を持ったことはありませんか?
誰しも一度は、「他人の芝生が青く見える」瞬間を経験するものです。
担当業界やお客様、タイミングなど、つい成果が出ない理由を“環境のせい”にしたくなります。
特に結果が求められる営業職では、このような心理に陥りやすい傾向があります。
営業キャリア25年の中で私が強く実感したことがあります。
「どんな環境でも結果を出すために全力を出し続けるのがプロフェッショナル」だということです。
本稿では、IBMでの実体験を交えながら、与えられた環境で成果を出す営業マインドと、実際にどのように行動して環境を“武器”にしていくかについてご紹介します。
第1節:環境のせいにしたくなる営業心理
営業職は、目に見える成果が明確に数字で表れる分、周囲と自分を比較しやすい職種です。
他の人は案件が多い
提案が通りやすいお客様ばかり担当している
営業部長からもサポートが手厚い
こんなふうに見えること、ありますよね。
でも、その背景にはさまざまな要因があります。
たとえば、成果を出している営業は、最初から恵まれたお客様を任されていたわけではありません。
むしろ、“期待値が低かった顧客”を育てて、自分の実績に変えているケースが多く見られます。
営業で成果が出ないときに環境のせいにするのは簡単ですが、それでは何も変わりません。
大切なのは、「与えられたこの環境でどう結果を出すか?」という問いに向き合うことです。
第2節:私の体験――“マイナス評価”から始まった営業人生
IBMでエンタープライズ向けの法人営業として働いていた頃、私はいわゆる“逆風スタート”ばかりでした。
女性、身長が低い、童顔という見た目から、「この人が担当で大丈夫?」と疑念の目で見られることもしばしばありました。
実際、営業担当の引き継ぎでお客様のもとへご挨拶に伺うと、表向きは笑顔でも、内心では「え?小娘が来たの?」といった反応が伝わってきました。
でも、私はそのたびに心に決めていたのです。
「この環境を変えてみせる」「“加藤に変わっ て良かった”と思っていただける営業になる」といつも心に強く思っていました。
某大手メーカーのお客様へ他の方へ営業を引き継ぐご挨拶の際にシステム部長からこんな言葉をいただきました。
「加藤さんが、これまでで一番“男前な営業”でしたよ」。
営業を続けていて良かったと営業冥利を感じる瞬間でした。
第3節:自分の持ち場を“強み”に変える営業の思考法
営業としての成功は、環境や人脈、商品力だけでは決まりません。
むしろ、「与えられた環境でどう成果を出すか深く深く考え行動に移す」ことが圧倒的に成果を左右します。
たとえば、担当顧客の予算が少ない。
ならば、複数部門を巻き込む提案に広げられないか?
決裁者に会えない。
ならば、現場の声を武器にしてボトムアップ提案に変えられないか?
このように、制約や不利な条件の中で“自分なりの勝ち筋”を見つけていくことが、真の営業力です。
IBMでは「ビジネスはゲーム だ」とよく言われていました。
ルールがあって、相手がいて、自分の一手で流れを変える。
そんなゲームを、いかに楽しめるかが、営業という職業の醍醐味なのです。
第4節:どこでも結果を出せる営業は何をしているか?
成果を出し続ける営業に共通しているのは、「再現性のある思考と行動」です。環境が変わっても、次のような行動は共通しています。
相手の立場に立って課題を構造的に捉える
価値ある情報を提供し続ける
毎回の訪問・提案に目的と意義を持たせる
常に自分を振り返り、改善を続ける
これらは一見地味なようで、実は最も強力な武器です。
そして、この積み重ねこそが、「誰が相手でも」「どこにいても」結果を出せる営業を生み出します。
まとめ:環境を楽しめる人こそ、プロフェッショナル
「良い環境があれば成果が出る」
それは幻想です。
営業という仕事は、環境のせいにすることなく、「自分がその環境で最大限の効果を出すか」が問われる職業です。
むしろ、厳しい環境や不利な状況こそ、実力を証明できる最高の舞台です。
結果を出せば、誰よりも強くなれます。
そして、お客様からの信頼は、何よりも価値ある自分の中の“勲章”となります。
環境を変えるのは、上司でも会社でもなく、自分自身です。
どんな持ち場でも価値を生み出せる自分を、一緒に目指していきましょう。
