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2025年4月8日

“当たり前”ができていますか?──成果を左右するシンプルな真実と、営業現場に潜む盲点

“当たり前”ができていますか?──成果を左右するシンプルな真実と、営業現場に潜む盲点

「仮説を立てて、1件1件丁寧に営業する」。


それが成果につながる正攻法であることは、誰もが知っています。


しかし実際の営業現場では、その“当たり前”が徹底されていないことが少なくありません。


健康のためにバランスのとれた食事と運動が大切だと知っていながら、暴飲暴食に走ってしまうように。



本稿では、法人営業の現場で見落とされがちな「当たり前の実行」の重要性に焦点を当てます。


属人化した営業体質を見直し、組織的な成長を実現するための具体的なアプローチとして、仮説検証型営業の実践と習慣化、さらにはセールスイネーブルメントの必要性について、事例を交えてわかりやすくご紹介します。


第1節:「知っていること」と「できていること」は違う


営業活動の中で、「当たり前」とされている行動があります。例えば以下のようなことです。


  • 顧客の業界や組織構造を調査する

  • 決裁者やインフルエンサーを把握する

  • 提案の根拠となる仮説を立てる

  • 商談の目的を明確にし、ゴールを設定する


これらはすべて基本的な行動であり、多くの営業担当者が「重要である」と理解しています。ところが、実際の行動に落とし込まれていないケースが後を絶ちません。


たとえば、あるITソリューション企業の営業チームにおける調査では、担当者の約70%が「商談前に顧客情報を調べるべき」と答えたにもかかわらず、実際に事前に仮説を明文化していたのはわずか18%。このギャップこそが、成果の安定化を妨げている最大の要因なのです。


第2節:属人化が引き起こす「再現性のなさ」の罠


「営業成績はあの人任せ」。そんな組織になっていないでしょうか?


営業の成果が特定の人に依存している状態は、一見すると好調に見えますが、実は大きなリスクをはらんでいます。


それが「属人化」です。


属人化した営業は、担当者が異動・退職すれば関係性やノウハウが消失し、次の担当者がゼロから関係構築を迫られることになります。


さらに問題なのは、成果が属人化すると、「成功の再現」ができないということです。ある営業マネージャーはこう語ります。


「トップセールスに共通する成功パターンを見つけようとしても、本人たちが無意識にやっていることが多く、体系化できない。教えてもらっても、“感覚的”で終わってしまう。」

この“無意識の成功”を明文化し、チームに展開するために有効なのが、仮説検証型の営業スタイルです。仮説を「見える化」し、その精度と効果を定期的に検証することで、組織全体で再現性の高い営業手法を確立できます。


第3節:仮説検証営業がもたらす“考える力”の醸成


仮説検証型営業とは、「顧客はこのような課題を抱えているのではないか」という仮説を事前に立て、その正しさを商談で確認・修正しながら提案につなげるアプローチです。


たとえば、ある中堅SaaS企業では、営業全員に対して「商談前にWho(誰に)/What(何を)/Why(なぜ)/How(どうやって)」の4点を整理した仮説シートを提出させる運用を導入しました。


その結果、商談化率は導入前の20%から、わずか3ヶ月で31%まで向上。チーム全体の思考力と提案の質が格段に上がったのです。


仮説検証を営業プロセスに組み込むことで、「なんとなく提案している」から「顧客課題に基づいた提案ができる」営業へと進化できます。


この“考える力”こそが、AI時代における営業の価値そのものです。


第4節:継続を可能にする“仕組み”と“コーチング”


ただし、正しいやり方を知っていても、継続できなければ意味がありません。ここで鍵となるのが、「習慣化」と「支援体制」です。


具体的には、以下のような取り組みが効果を発揮します。


  • セールスイネーブルメントプラットフォームの導入 仮説テンプレートや過去提案事例のデータベースを整備し、誰でも活用できる状態にします。


  • 定期的なレビュー会の実施 マネージャーが仮説の立て方や提案の妥当性をフィードバックすることで、思考の質が向上します。


  • 1on1コーチングの実施 属人的な課題に対し、具体的なアドバイスと内省の場を提供することで、営業パーソンの自己成長を促します。



継続的な内省と支援こそが、「当たり前」を「実行可能」にする土台になるのです。


まとめ:成果を生むのは、特別な戦略ではなく“基本の徹底”


成果を出す営業は、決して派手なことをしているわけではありません。


むしろ、仮説立てや顧客理解といった基本動作を「丁寧に」「確実に」「継続して」行っているだけなのです。


これからの営業に求められるのは、「知っている」だけで満足せず、「できているか」「続けられているか」を問い続ける姿勢です。


そのためには、個人の努力だけではなく、組織として“基本を実行する仕組み”を持つことが不可欠です。


もし今、営業の成果が不安定だったり、属人化の傾向があると感じているなら、それは「基本」が形骸化しているサインかもしれません。


“当たり前のことを、当たり前にやる”。このシンプルな真実を、あなたの営業現場でももう一度、見つめ直してみませんか?

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