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2025年4月16日

営業はArt&Science

営業はArt&Science

「営業とは、結局は人間性だ」。


かつて多くの営業パーソンがそう信じ、お客様との関係構築を何よりも重視していました。


人と人とのつながりのみで成果を上げる営業は存在していましたし、今もなお重要な要素のひとつです。


しかし、時代は大きく変わりました。


人口減少、企業数の増加、製品・サービスの高度化――これらの変化により、「人間性だけでは成果を上げにくい」時代が到来しているのです。


今、営業には“感覚”だけでなく、“論理”に基づいたアプローチ、つまり「Art(感性)」と「Science(科学)」のバランスが求められています。


本稿では、「営業のArt&Science化」がなぜ必要なのか、その背景と実践のヒントについて詳しく解説していきます。


第1節:変わりゆく市場と営業の役割


近年の営業を取り巻く環境は、かつてないほどに複雑化しています。


そして、少子高齢化により、日本の労働人口は2040年には6,000万人以下にまで減少する見込みです


一方で、法人企業数は微増を続けており、一人あたりの担当顧客数は年々増加しています。


また、お客様企業の課題も多様化し、IT、サステナビリティ、働き方改革といった横断的テーマへの対応が求められるようになっています。


かつての「いい商品を紹介する営業」では、お客様のニーズに応えきれない時代です。


こうした背景から、営業には「お客様の課題を見抜き、仮説を立ててソリューションを提示する力」、つまり“論理的な営業力”が強く求められています。


第2節:「ロジカルセリング」が必要とされる理由


では、なぜ今、「ロジカルセリング(論理的営業)」が重要視されているのでしょうか?


ロジカルセリングとは、お客様の業界動向や経営課題に対して、論理的な仮説を立て、データや事実に基づいて提案を行う営業スタイルです。


たとえば、単に「コスト削減に効くシステムです」と言うのではなく、「御社の昨年の原価率はX%で、業界平均よりも5%高いため、今回ご提案するシステムで〇〇%の削減が見込めます」という具体的な根拠を示すことが挙げられます。



このように、感覚や経験ではなく「データと仮説」で対話を進めることで、信頼性と納得感のある営業が可能になります。


特に、意思決定プロセスが複雑な大企業では、このようなロジカルな説明が欠かせません。


第3節:「感性」を失わないために ― 人間性の重要性


しかしながら、論理だけで営業が成功するわけではありません。


営業は「人」が行う仕事です。


お客様の言葉の裏にある本音を感じ取り、寄り添いながら信頼関係を築く力――それが営業における「Art(感性)」の側面です。


たとえば、お客様が価格や仕様を重視する発言を繰り返していても、実際には「この担当者は信頼できるか」を測っている場合があります。


そうしたニュアンスを感じ取れるのは、人間ならではのスキルです。


実際に、AIによる提案自動化が進む一方で、「感情分析スキル」や「信頼構築力」を評価項目に加える動きも出ています。


ロジックを磨きながらも、感性や人間性を鍛えることが、今後の営業において重要な差別化要素となるのです。


第4節:ArtとScienceを融合させる実践のヒント


では、「Art」と「Science」を融合させた営業をどのように実践すればよいのでしょうか?


以下に具体的なヒントを紹介します。


  1. 仮説思考トレーニングを行う 

    お客様に会う前に、「この会社の課題は何か?」を自分なりに仮説立てしてみましょう。


    業界ニュースや決算資料を使って仮説を構築し、ミーティングの中で検証する習慣を持つことが重要です。


  2. 信頼構築の「型」を持つ 

    たとえば、「相手の話を7割聴く」「最初の5分は雑談で相手の関心を探る」といった、人間関係構築のルールを意識することで、感性も再現性のあるスキルになります。


  3. データ活用の基礎スキルを身につける 

    ExcelのピボットやBIツールの基本操作など、データ分析の基本を理解しておくと、説得力ある提案が可能になります。

    ロジカルセリングのベースは、こうした数値の扱いにあります。


  4. ロールプレイで感性と論理のバランスを確認する

    社内で定期的にロールプレイを行い、感情の伝え方や論理構成を振り返る機会をつくりましょう。


まとめ:これからの営業に必要なのは、バランス感覚です


営業という仕事は、ただの「販売活動」ではありません。


顧客の未来をともにつくる“価値創造”の仕事です。


そのためには、論理と感性の両輪が必要です。


つまり、「営業はArt&Science」です。


この意識を持つことで、顧客との関係性も、成果の質も、そして組織の営業力そのものも、ワンランク上のステージに進化させることができるのです。


今後、AIや自動化が進む中でも、人にしかできない「感性」と、AIには負けない「論理」を両立することこそが、営業パーソンの生き残る道です。

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