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2026年3月30日

営業の型化で提案力が上がらない理由──「考える力」を育てる型の作り方

営業の型化で提案力が上がらない理由──「考える力」を育てる型の作り方

「営業に型を取り入れよう!」


組織として提案力を高めたいと考えたとき、多くの企業がまず取り組むのがトークスクリプトの整備やシナリオの標準化です。


誰が話しても同じことが言えるようにする。

管理しやすく、教える側も評価しやすい。一見すると合理的な施策に思えます。


しかし、この「型」だけでは提案力は上がりません。


お客様の課題が想定と少しでも違った瞬間に、応用が利かなくなるからです。


シナリオ通りに動けば動くほど、かえって自分の頭で考える力が失われていく。


これは多くの営業組織が陥る落とし穴です。


「深く考えろ」では人は動けない


型を入れたのに提案力が上がらない。

そこでよくあるのが、上司から部下への「もっと深く考えろ」という指示です。


言いたい気持ちは理解できます。


しかし、言われた側は「何を、どう考えればいいのか」がわからない。


考える方向もフレームもないまま「深く考えろ」と言われても、それは精神論にすぎません。


行動科学の知見では、成果が出ないとき原因は二つに絞られるとされています。


「望ましい行動のやり方を知らない」か「やり方は知っているが続ける仕組みがない」かです。


考えるという行為も例外ではありません。


具体的に「何を」「どの順番で」考えるべきかが示されなければ、どれだけ優秀な人材でも動きようがないのです。


二種類の「型」──答えを覚えさせる型と、考えさせる型


ここで立ち止まって考えていただきたいのが、「型」の定義そのものです。


型には二種類あります。ひとつは、答えを覚えさせる型。 


トークスクリプトを暗記し、金太郎飴のように同じセリフを話す。


想定内の商談では機能しますが、想定外の課題が出た瞬間に止まります。


もうひとつは、問いを与えて考えさせる型。


 お客様ごとに最適な提案を、自分の頭で組み立てられる力を育てます。


同じ「型」という言葉を使っていても、育てているものはまったく異なります。提案力を底上げするために必要なのは、後者の考えなければ使えない型です。


IBM入社当初のボトム2割──転機になった四半期セッション


私自身、IBM入社当初はボトム2割でした。


「考えろ」と言われても、何をどう考えればいいのかさえわかりませんでした。


振り返ってみると考える力をつけることができるようになったのは、四半期に一度のセッションです。


チーム全員でお客様のビジネスを掘り下げる場ですが、上司が答えを教えてくれるわけではありません。


お客様の経営課題の本質は何か。


私たちだからこそ届けられる価値は何か。


競合との差はどこにあるか。


こうした問いに、一人ひとりが自分自身と向き合います。


最初はまったく言葉が出ませんでした。


先輩たちがお客様のビジネスを多角的に掘り下げていく姿を間近で見ながら、「考えるとはこういうことか」と少しずつ理解していきました。


繰り返すうちに、お客様のビジネスを自分の頭で掘り下げる力が、少しずつ身についていったのです。


このセッションは、IBMではAPS(アカウントプランニングセッション)と呼ばれています。


報告や情報共有の場ではありません。考えなければ前に進めない仕組みそのものです。


「考える型」を組織に取り入れるための3つのポイント


APSのエッセンスを自社に取り入れるために、まず意識したいポイントが3つあります。


① 考えるべき問いを明確にする

「深く考えろ」ではなく、「このお客様の経営課題は何か」「私たちが届けられる価値は何か」のように、具体的な問いを設定します。何を考えるべきかが明確になったとき、はじめて人は考えられるようになります。


② 答えを教えるのではなく、問いを投げる場をつくる

上司が正解を伝える報告会ではなく、全員が対等にディスカッションする場を設計します。問いに向き合い、自分の言葉で答えることを繰り返すことで、「考える型」が一人ひとりに身についていきます。


③ 定期的に繰り返す仕組みにする

一度やって終わりでは、思考力は定着しません。四半期に一度、あるいは月に一度、定期的にセッションを実施し、考える習慣を組織に根づかせることが大切です。


考える力を育てる組織をつくるために


落ちこぼれだった私が成長できたのは、考えることを前提にした仕組みがあったからです。


「考えろ」ではなく「この型で考えろ」と言える仕組みが組織にあるかどうかです。


この違いが、提案力の底上げに直結します。


IBMで世界170カ国にわたり実証されてきたこの仕組みを、あなたの組織にも取り入れてみませんか。


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