2026年9月29日
ザ・モデルが失敗する理由──大手企業・大口商談に分業型営業が適さない理由

ザ・モデルを導入したのに、大口商談がうまくいかない。そんなご相談が増えています。
先に結論をお伝えします。
ザ・モデルは売る側にとって効率的な体制ですが、大手企業のお客様・大口商談では「お客様への責任を持つ人」が不在になりやすく、それが失敗の原因です。
買う側の視点で体制を見直すことが、大型案件攻略の第一歩になります。
ザ・モデルとは──売る側にとっては、とてもいい体制
ザ・モデルとは、セールスフォースが提唱した営業の分業体制です。
マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスと役割を分け、分業なのでそれぞれの専門性を活かせます。
効率的で、フェーズごとの数字も管理しやすい。
売る側にとっては、とてもいい体制だと思います。
導入する企業が増えたのも、うなずけます。
買う側から見たら、どうでしょうか?
では、視点を変えてみます。買う側から見たら、どうでしょうか。
フェーズが進むたびに、担当者が変わる。
そのたびに、同じ質問をさせられる。
前に話したことが、ゼロリセットされてしまう。
お客様は、こう感じているのではないでしょうか。
「流れ作業の提案をされている」と。
一度買ったらそのまま使い続けて、増えも減りもしない。
そういう商材やお客様であれば、この体制で問題ありません。
しかし、大手企業のお客様、大口商談のお客様は違います。
大手企業のお客様が感じる「責任の所在はどこ?」
大手企業のお客様の検討には時間がかかります。
関係者も多く、契約後も拡張や変更が続きます。
長いお付き合いの中で、お客様が頼りたいのは「この会社の窓口として責任を持ってくれる人」です。
そのお客様に対して、フェーズごとに担当者が変わってしまう。
お客様からすれば、こう思うのです。
「責任の所在は、どこにあるの?」と。
社内でも起きる問題──誰もお客様への責任を持っていない
さらに、売る側の社内でも問題が起きます。
それぞれのフェーズの担当者は、次の工程のことを考えず、自分のミッションを達成すればよくなります。
インサイドセールスはアポの数。
フィールドセールスは受注の数。
数字は追っているのに、お客様への責任は、誰も持っていない。
これで大口商談がうまくいかないのは、当然ではないでしょうか。
IBMは「分業」ではなく「責任者」を置く
私が25年間在籍したIBMでは、大手のお客様には、最初から最後まで責任を持つ担当営業がいました。
分業ではなく、責任者を置く。
そして、その人がすべてのお客様とのやり取りを把握する。
お客様の情報が組織に蓄積され、提案に一貫性が生まれます。
大型案件は、そこからしか生まれません。
あなたの会社の大切なお客様に、「責任者」はいますか。
<よくある質問>
Q1. ザ・モデルを導入済みです。やめるべきですか?
A1. やめる必要はありません。小口・新規のお客様にはザ・モデルの効率性が活きます。大切なのは、大手企業・大口商談のお客様には、フェーズをまたいで責任を持つ担当営業を置くという使い分けです。
Q2. 責任者を置くと、属人化しませんか?
A2. 責任者を置くことと、属人化は別の問題です。アカウントプランでお客様の情報・提案戦略を組織の共有資産として文書化しておけば、責任の一元化と組織での情報共有は両立できます。
Q3. 大手企業向けの体制づくりは、何から始めればよいですか?
A3. まずは大切なお客様を一社選び、責任を 持つ担当営業を決め、チームでアカウントプランを作ることから始めてください。責任者と戦略が揃えば、大型案件の創出が動き出します。
N.Kナーツ株式会社について
代表の加藤夏美はIBMで25年間、大手企業への法人営業に従事。独立後は「成果のでる提案手法を日本の営業現場に届ける」をミッションに、アカウントプラン・セールスイネーブルメントの導入と、法人営業のソリューション営業への転換を伴走支援しています。

